MAXIMUM 2021 Archive

2021/12/28 ミュージション新江古田 で開催した[MAXIMUM 2021]のアーカイブサイトです。
生楽器と電子楽器「星谷ボード」と「磯部レール」との共演
こんなに過激な楽曲がいままであっただろうか?

players

楽器と電子音響の極限の出逢い「マキシマム」について

優秀な作曲家が電子メディアとのコラボレーションを行う場合に「縁の下の力持ち」としてサポートを担当しているのが作曲家・メディアアーティストの磯部英彬である。 非常に温厚で、的確に仕事をこなす職人であるが、技術に裏打ちされた職人でありながら、独特な感性の持ち主であることも知られてよい。 その独特な感性を発揮するために、磯部が自らプロデューサーとして立ち上げたのが「マキシマム」である。 「マキシマム」と言っても、コンサートで聴かれる音響は、鼓膜を突き破る爆音ノイズ、ということではなく、繊細な音量調節で耳にダメージを与えない適度な再生音である。 極大、最大を意味する「マキシマム」は、音の大きさのことではなく、そのコンサートによって、新たな音・パフォーマンスが生まれるための最高の場所という意味である。 このような意表を突く「マキシマム」の面白さ・楽しさは、パソコンや多種多様な機材に囲まれ、メカと共に生きて、デジタル空間を往来する磯部の「人間らしさ」でもある。 これまでには、新たな楽器を開発披露した公演もあった。そして、毎回、電子メディアと何らかの楽器を組み合わせる。ときには、これが作品か? これを音楽と言って良いのか? という域にまで創作の興味は広がってゆく。 あるときの磯部作品は、3Dメガネを付けて、映像を見ながら音楽を聴く、という視覚へのエフェクトと音響との関係(極限の出会い)をテーマにしたものであった。 音にエフェクトをかけるのであれば当たり前であるが、映像の方へエフェクトを、しかも3Dのとはいえ、アナログな赤青メガネでエフェクトをかける。あの発想は楽しかった。 このような、興味深い試みは、磯部の作品だけに限らず、磯部の意思に賛同して「マキシマム」に集う、作曲家、演奏家たちからも現れる。 今回のマキシマムが提示してくれるのは、どのような極限の出会いになのか? 今回も楽しみである。 (音楽評論/西耕一)

星谷丈生:フルート、サクソフォン、ピアノ、Isobe Rail、Hoshiya Board のための音楽(2021) 抜粋

磯部英彬:フルート、サクソフォン、ピアノ、Isobe Rail、Hoshiya Board のための「ナポリまで4マイル」抜粋